ハリーポッターがエンディングへ(11)
「アーサー王伝説」にもマーリンという魔術師が登場しますし、『ゲド戦記』のゲドも魔法を使います。『指輪物語』のガンダルフも「灰色の魔法使い」と呼ばれていました。古来ファンタジー小説には魔法使いや魔法は付き物であったはずなのですが、世界的なベストセラーになればこうした悩みも生れるということなのでしょうか?私は作者には最終巻のタイトルに“Hallows”という神聖な言葉を附すことで、そうした批判を少しでもかわそうとする狙いもあったのではないかと推測しています。でなければ英国人でもほとんどしらない『Hallows=秘宝』というタイトルは不自然でしかないでしょう。内容を読まずタイトルだけを目にした人にとっては“Hallows”という単語は「神聖」なものというイメージを与えるに違いありません。それによって少しでも愚かな大人の監視の目をかいくぐり、ひとりでも多くの子供たちに「読書の楽しみ」を知ってもらいたいと願っています。古来から子供たちはそうして成長して来たのですから。
訳者の松岡佑子氏がインタビューで「たくさんのお母様方から『子供が本を読まなかったのに、ハリー・ポッターだけは読みます』とか、お子さんからも『こんな長い物語を読んだことはなかったけれど、ぼくははじめて読みました』などという声をいただきました。読書の楽しみを再発見させる役割をはたしたというのは、ハリー・ポッターだからこそできたのではないかと思います。(中略)私の心の中では、子供が本を読むようになったということが、一番印象の強い出来事でした」と語っているように、活字離れが進む時代にあって、子供が本に戻ってきてくれたことは大いに喜ばしいことだと私も思っています。「さらに言うなら、大人も子供も一緒に楽しめる本だったというのが不思議な現象でしたね。『親子の会話が成り立った』」ということも今の時代にあってはさらに大切なことなのではないでしょうか。
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