2008年12月13日 (土)

風のガーデン第9話 ラムズイヤー

 ラムズイヤーはシソ科の半耐寒性多年草です。ラムズイヤーの葉や茎はその名前(羊の耳)通り灰白色の毛で覆われています。6~7月にかけて、特徴のある形をした花穂に赤紫の小さな花を咲かせます。花はすぐ枯れてしまいますが、常緑のシルバーグリーンの葉はロマンティックな雰囲気を演出してくれます。貞三の花言葉は「生れたばかりの孫の耳たぶ」です。Lambs_ears01
 キャンピングカーで貞美(中井貴一)の病気を察知した貞三(緒形拳)は、それを確かめるために札幌の水木(布施博)のクリニックを訪れた。そして貞美が余命数カ月であることを知る。衝撃を受けた貞三は、苦悩と当惑の表情を浮かべたまま札幌の街を彷徨い、その足で義姉・春江(草笛光子)に会いに行く。思いを打ち明け、どうするべきか助言を求める貞三に春江はすぐに家に呼び戻すようにすすめる。
 在宅医療で多くの末期患者を看取ってきた貞三のような医者にとっても、我が子の死は別ものなのだろう。まして一度は勘当を言い渡した相手なのだから・・・彼の脳裡には様々な苦悩と後悔が渦巻いていたに違いない。
 ガーデンでは、岳(神木隆之介)が貞美に花の講義をしていた。岳が花を指さしては教えてくれる花言葉は父・貞三が作ったものだと知り、心動かされる貞美。それらはルイ(黒木メイサ)のこと、岳のこと、亡き妻・冴子のことをよみこんだ花言葉で、貞美のものはなかった。その後、森で1人エゾエンゴサクの球根掘りをしていた貞美の前に修(平野勇樹)が現れた。唐突に「ルイをオレにください!」と頭を下げる修に驚きつつも、本人に交渉しなさいとだけ告げる貞美。その一部始終を聞いた猛(ガッツ石松)は、修をボコボコに殴りつけ、貞三の元へ謝りに行くことになる。いかに芝居とはいえ、元世界チャンピオンのボクサーに殴られるのは、相当に怖いものなのだろうな・・・
 台風が接近してきた。強風が窓を激しくたたき始めた頃、貞三はルイを呼び、貞美が病気であることと和解することを告げるが、岳には貞美の正体を伏せておこうと言うのだった。父親が生きていることを知っているルイでさえ強いショックを受けるのだから、死んだことにされていた父親が生きて現われ、すぐにまた死んでしまうというのはいかにも酷なことかもしれない。しかし、父親を死んだことにしたのは貞三である。障害のあった岳のことを想ってのことだったのだろうが、親子の縁はそんなに簡単に切ったり繋いだりすべきものではないはずだと私には思えてならない。離れて暮らさなければならない事情に多少の嘘が混じることは止む終えないとしても、生きている者を死んだことにするというのは、あまりに非人間的ではないだろうか?もし貞三が岳の障害を言い訳にしたのなら、それは明らかに障害者に対する逆差別である。貞三は自らの行為を心から悔いていた。ならば、ルイ同様に岳にも真実を告げるべきだと思うのは私だけだろうか?
Takayuki_kamiki02  その後、ルイは家に岳がいないことに気付く。慌てて探しに行くと、岳は花を守ろうとガーデンで台風の中必死で作業をしていた。貞美に花の講義をしていた岳にルイはガーデンの花を守ることをきつく命じていたのだ。私には岳が姉に命じられたことを懸命にやり遂げようとしていただけではないように思えた。岳は貞美といる時間をルイに奪われたことを怒っていたように見えたからだ。岳は貞美が実の父だとは理解してはいないが、自分にとって特別で大切な存在だということは感じ取っていることは確かだと思っている。
 やがて、エリカ(石田えり)も貞美の病気のことを知る。生前葬を開いたことを悔やみ、動揺したエリカは貞美のキャンピングカーを訪れた。とりとめもない話をしていたエリカが急に話を止めた。その視線の先には貞三がいたのだった。驚きで動けない貞美。エリカが立ち去った後、貞美と貞三は数年ぶりに言葉を交わす。
 貞三はこれまで親子を引き離してしまったことを貞美に詫びた。その言葉に貞美もまた自分の情けなさを謝る。治療に少しは役に立てるかもしれないと家に戻ってくることをすすめる貞三に貞美は考えさせて欲しいと答える。そして長い沈黙の後、貞三から生きている間にやっておきたいことはと聞かれた貞美はルイとバージンロードを腕を組んで歩きたかったと静かに話すのだった。

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2008年12月 4日 (木)

風のガーデン第8話 フロックス

Fulox02  フロックスはハナシノブ科の植物の属のひとつで、現在67種が知られており、越冬性一年草のものと多年生植物のものがあります。フロックス属の花は5弁で、花色には濃淡の青・藤色・明るい赤・白などがあるようです。貞三の花言葉は「妖精たちの新盆の迎え火」です。Ezoengosaku03_2
 貞美(中井貴一)は、森でエゾエンゴサクの球根を掘っていた岳(神木隆之介)の前に姿を再び現す。貞美を怒らせてしまったのではないかと心を痛めていた岳は再会を喜んだ。岳と並んで球根堀りの作業をする貞美は、エゾエンゴサクがルイ(黒木メイサ)の好きな花だと聞いて、育て方を教わる。
 水木(布施博)から貞美に電話が入った。富良野の病院で事故に遭って運び込まれてきた患者の緊急手術を手伝ってほしいと言う。麻薬の影響が出始めていることを自覚している貞美は躊躇いをみせる。が、医師としての使命感からか水木の申し出を断り切れなかった。手術に立ち会った医師らは貞美の見事な施術に感謝し、緊急時だけでもいいから手を貸して欲しいと依頼する。だが、さすがの貞美も苦笑するしかなかったようだ。貞美はひどく疲労し、帰り道、運転中に激しい睡魔に襲われる。貞美が車を脇道に寄せ仮眠をとっていた頃、ルイはさゆり(森上千絵)にこれまでの貞美とのいきさつを話していた。
 後日、キャンピングカーにルイとさゆりがやってきた。貞三(緒形拳)に会いに行けないでいることを心配し、仲介役を申し出る2人の勢いに戸惑う貞美。すると、そこへ修(平野勇樹)が突然やってきた。貞美を見るなり自分はルイの婚約者だと言い出した修だが、貞美が父親だとわかると焦って逃げてしまう。この平野勇樹という新人は多分富良野塾の卒業生だろうが、なかなかいい味を出している。
Kiichi_nakai02  そんな折、エリカ(石田えり)らおさななじみの同級生たちが、歓迎会を開くと貞美を誘いだした。連れてこられたのは同級生が住職をしている寺で、歓迎会は、貞美の「生前葬」として企画されていた。喪服で集まった友人たちは、弔詞として貞美の昔の悪事を暴露していき、会は大いに盛り上がる。一同の前で挨拶をすることになり、故郷の大切さに思い至ったことを話しだす貞美。一緒になって笑っていた貞美だが、やがて熱いものがこみあげ頬に涙がつたう。同級生たちは貞美の病状を知らない。そんな同級生たちのやさしい無垢な笑顔を見つめながら、貞美は何を想っていたのだろう。「生前葬」とはいかにも倉本聰らしい奇抜なアイデアだが、貞美が置かれた状況を考えればあまりにも皮肉な設定だ。自分の病状を隠している貞美にとっては腹を立てることすらできない状況なのだ。
 貞美の頬をつたう涙には故郷への郷愁の念は勿論だが、彼がこれまでに一度も顧みることの無かった様々な想いが溢れていたのかもしれません。「30年近く富良野を離れ、故郷(ふるさと)というものを忘れておりました。故郷がこんなにも優しく、暖かく自分を迎えてくれるものだとううことを私は愚かにも忘れておりました。私は情けなく、あまりにも情けなく、泣けてまいります・・・」という貞美の言葉にそんな想いを感じてしまいました。
 往診を終え帰ってきた貞三は、自宅前で貞美が手術を手伝った病院の看護師と遭遇し、貞美の帰省を聞いた。「父さんが富良野に来てるんですか?返事をしなさい!」と厳しい表情でルイを問いただす貞三。無言で頷くルイに、貞三は「動作だけじゃなくて、言葉に出しなさい!人間はしゃべれる。それが動物との違いです」と叱責する。さらに「おじいちゃんはきちんとした人間に育ててきたつもりです。だから返事くらいきちんと言葉でしてほしいんです」と続けた。そして、自分もひとりの親として息子に会いたい。息子を勘当したことを後悔していると心中をルイに語るのだった。Ken_ogata05_2
 私はこの貞三の言葉に真の親子のあるべき姿を見た思いがしました。子供にあま過ぎる親にも問題を感じますが、ただ厳しいだけの親も同じだと思います。貞三のように叱る時にはしっかりと叱り、その理由もしっかりと伝えなければ、今の子供は納得しないはずです。大切なことは子供を叱ることではなく、叱る理由をきちんと子供に納得させることではないでしょうか?理由も分からず頭ごなしに怒鳴られたのでは、反感を感じるだけでしょう。ただ、叱らなければ子供はいつまでたっても、自分の欠点に気が付かないかもしれません。私は貞三の言動を見ていてそう強く感じました。今の時代は子供に対してもある程度の説明責任が求められているのではないでしょうか?
 貞美がキャンピングカーで暮らしていることを知った貞三は単身森へ向かう。そして、キャンピングカーに入ると、点滴を打ちながら熟睡している貞美の姿が目に飛び込んできた。散らばった麻薬パッチの箱や台紙、エコー写真を見て貞美の病気を察知した貞三は、激しく動揺しキャンピングカーを飛び出していった。息子を許し和解しようと決心をした矢先に息子が癌であることを知った貞三は札幌へ水木を尋ねるのだろう。そして、湖面にたつ漣のように貞美の病状が富良野の街に広がってゆく・・・

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2008年12月 2日 (火)

ドラマ・チームバチスタの栄光(16)

 後の白鳥の話によればケース27は緊急オペで、氷室にはスワン-ガンツカテーテルの準備をする時間がなかったことが明らかになります。つまりケース27の術死に氷室は関わっていないというのです。でも、これはちょっと不自然ではないでしょうか?そもそも機器の細工さえ終わっていればいいだけの話しで、そんな複雑な細工をオペの直前に行える訳がないはずです。問題はスワン-ガンツカテーテルの細工を誰がいつしたかではないでしょうか?当然、オペ前には機器の点検は行われるはずですが、機器を分解して内部まで調べることはないはずです。原作ではケース27は緑内障による視野狭窄で桐生のオペミスの可能性も示唆されていますが、それとても死後に解剖がなされていないため真相は闇の中です。
 「27」という氷室のダイイングメセージは術死の始まりを意味していたのではないでしょうか。つまり、何者かがスワン-ガンツカテーテルに細工をした最初のオペだということではないでしょうか?それを氷室は知らなかったとしたらどうでしょう。それに氷室が初めて気付いたのがケース33だったとしたら・・・そこで、氷室は真犯人は他にいると断言できたのだとしたら・・・推理の前提が全く違ってきてしまうのです。You_shirota02
 ここまでも繰り返し書いて来たことですが、オペ室での殺人は決して簡単ではありません。少なくともオペ中は執刀医・第一助手・第二助手という6つの目が常に患部を注視しているのですから、患部に何らかの細工をして患者を殺すことなどほぼ不可能だと私は考えています。これは原作を読んだ時から基本的には変っていません。原作を読んだ時は、注射器や薬物の壜を持っていても怪しまれないのは麻酔医だけで、看護師が注射をすることはあっても、あくまで医者の指示に従っての行為なので、そうでないものはすぐに分かるはずだと考えました。また薬物に一切触ることのない臨床工学士はすぐに除外できます。さらに、薬物にも患者にも全く触れることの無い病理医が犯人であるはずがないとも考えました。消去法では麻酔医しか残らなかったのです。そして、凶器もエピドラだと早々に気が付きました。ただ、エピドラをどのように使えば殺人が行えるのかが分からなかっただけでした。
 ところが、今回の殺人に関しては森博嗣も顔負けのメカ的な手段でした。従って、臨床工学士にもわずかながらその可能性は残ることになります。ただ、以前も書いたように臨床工学士が犯人という設定は庭師や家政婦が犯人だといっているようなもので、ミステリィではタブーのはずですし、そもそも専門の医師ではない人間に心筋のどの部分を焼き切れば心臓が再鼓動しなくなるかという正確な判断ができるはずがないのです。犯人はそうした高度な医学知識に加え、医療機器に関する専門知識も併せ持つ医者であることが絶対の条件になります。
Iryu14   『医龍』で当時まだ研修医だった伊集院に人工心肺装置の知識があったことを思い出して頂きたいと思います。コンピュータの知識同様、こうした医療機器に関しても若い医者の方により豊富な知識があるのではないでしょうか。例えば同じ助手であっても、谷垣よりは酒井の方に知識がありそうな気がします。さらに、前回の放映でちょっと気になることを思い出しました。それは酒井の事情聴取の場面ででした。彼の父親は優秀な心臓外科医とされているのです。酒井も当然のことながら幼い頃から英才教育を受けて育った可能性があるのです。そして酒井の父親が過去の経験などを息子に話していたとすれば、酒井がそこから殺人のヒントを得ていたことは考えられなくはありません。確かに自分でも悩んでいるように手技は並みですが、医学やメカ的な知識となると話しは違ってきます。Yumiko_shaku003m
 とにかくキーパーソンは大友直美です。彼女が誰と繋がっているのかが分かれば犯人の特定はできるはずなのですが・・・ちなみに原作では大友は酒井と結ばれることになっているのです。また、酒井は氷室と共同研究もしていて氷室の性格なども充分に知る機会もある立場にいるのです。氷室が無実だとすれば、スワン-ガンツカテーテルが凶器だと知った氷室はとっさに酒井を思い浮かべたことは充分に推測できます。さらに、氷室が大友と酒井の関係を知っていると仮定すると、大友に想いを寄せている氷室としてはそのことを大友に直接知らせたかったのではないでしょうか?ガラスの薔薇をめぐる彼の一連の言動にも氷室のそうした性格がうかがえたはずです。従って、氷室が大友に電話をしながら留守電に何のメッセージも残していないはずはないと考えています。メッセージには犯人の名前が残されていたことも充分に考えられます。
 氷室の性格を分析してみると、孤独で無口ではありますが、内に秘めた強い闘志があるようです。その闘志が捻じ曲がった攻撃性となって表出することがあるのかもしれません。そう考えると氷室の逃亡は自殺するためではなく、真犯人に対する復讐のためではなかったのでしょうか。患者を殺した恨みや憤りなら警察で自供し真犯人を逮捕させればいいわけです。彼がそうせずに逃亡し、真っ先に大友に電話をしたことを考えると、そこには何らかの私怨があるのではないでしょうか。氷室は恋しさが余っての憎しみを大友にぶつけようとしているのか、大友と繋がりのある犯人を憎んでいるのかはもう知る由もありませんが、氷室の知る真犯人が大友と繋がりがあることは間違いがないようです。
Au_w61t_b_01_1  氷室自殺説に傾いている警察では多分この犯人は見つけられないでしょう。スワン-ガンツカテーテル内部に羽場の指紋などが見つかると、捜査は全然別の方向に向かう可能性すらあります。ここまで計画的な犯行を実行している犯人が簡単に見つかる指紋などを残すはずはないのですから・・・もし、物的証拠があるとすれば大友が消した留守電メッセージの復元かもしれません。そんなことが現実に可能かどうかは分かりませんが、一度消されたPCのハードディスクの内容が復元できるのですから、無理な設定ではないと思います。ただ、酒井には反抗当時のアリバイがあります。しかし、大友直美と関係がありそうな医者は若い酒井か実力のある桐生しかいないはずなのですが・・・谷垣や鳴海医師ではどうにもイメージがわきません。
 真犯人が酒井だとすると氷室を突き落としたのは大友直美ということになってしまいます。桐生単独犯は考え難いのです。理由は執刀医には医療機器の知識はあってもそれに触れる機会は実際にほとんどないことです。まして、医療機器を持ち出したり戻したりするためにオペ室に出入りをするのは不自然極まりない行為と周囲には見えてしまうはずなのです。執刀医が患者を殺すのなら直接患者の患部からと考えるのが妥当でしょう。それでは自供以外犯行の証明ができず、ミステリィとしては最低の結末になってしまいます。その点、留守電メッセージの復元が可能なら最も意外性のある結末ということになると思うのですが・・・

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2008年12月 1日 (月)

ドラマ・チームバチスタの栄光(15)

 逃亡した氷室はとあるビルの屋上にいた。携帯の電源をONにして最初に電話をかけた相手は大友直美でした。大友はカンファレンス中で留守電に・・・問題は氷室がメッセージを吹き込んでいたかでしょう。大友はメッセージはなかったと証言しているようですが、真偽は定かではありません。
 田口は何度も氷室に電話をかけ続けていた。そして、この通話の直後にやっと氷室と話しをすることができたのです。田口は懸命に氷室を説得し氷室の居場所を聞き出すことに成功します。問題はその場所を口に出して復唱してしまったことでしょう。確かにこの段階では氷室が殺害されることは想定外だったのかもしれませんが、彼が真犯人を指摘する発言をしていたことを考えれば、そうした事態も想定しておくべきでした。そしてこのことが犯人の絞込みを益々難しいものにしてしまいました。田口は単身で行動し、その結果、氷室はビルの屋上から突き落とされてしまうのです。氷室が犯人ではなかったとすると彼の死で手がかりが全くなくなってしまったのです。
 ここで考えなければならないことは、当然ながら氷室の居場所を知っていた人間は誰かということになります。氷室を殺す動機のある者は犯人かその共犯者しか考えられないからです。氷室が大友の携帯にメッセージを残していれば彼女が真っ先に彼の居場所を知っていたことになり、それを第三者に伝えた可能性もあります。また、真犯人を庇うために自ら氷室を突き落としたのかもしれません。おそらく氷室は大友に直接会って話したいことがあったに違いないと推測できるのではないでしょうか。
 一方、田口が大学病院で居場所を口に出して復唱したことで、院内にいた誰かがそれを聞いてしまった可能性も残ってしまたのです。死亡推定時間に院内にいなかったのは3人。マンションに戻っていた大友、外で飲んでいた羽場、そして自宅に戻っていた酒井です。谷垣は単独ですが、桐生と鳴海は院内に一緒にいたと証言しています。でも、予告を見る限りどうもこれは偽証のようです。予告ではいかにも鳴海が犯人のように振舞っていましたが、『破線のマリス』ではありませんが、特定のシーンだけを切り貼りした映像は真実とは異なるイメージを視聴者に与えることになるものです。オペ中は薬物にも医療機器にも患者の体にも一切触れることの無い病理医が患者をオペ室で殺すことは超能力でも使わない限り不可能でしょう。
 実際に氷室が殺されたとなれば、当然真犯人がいることになります。ただ、5人の被害者のうちのどれが氷室の犯行なのかが分からないのです。ケース33にしても、スワン-ガンツカテーテル内部の指紋照合の結果が出ていないので氷室の犯行とは特定できていない状況なのです。仮に指紋が検出されたとしてもそれが犯人のものだと断定することもできないでしょう。ただ、田口との電話での会話の中で氷室は、自分が飼っていたハムスターが死んだ日の午後のオペで初めて人を殺したと言っています。氷室は患者を殺しているのかもしれませんが、それがどのケースに当たるのかが不明なのです。
 そして、氷室が犯人ではないとすると薔薇の殺人予告が不可解なものになってしまいます。ケース28と32で子供のバチスタは成功しています。それは、スワン-ガンツカテーテルを子供には使わないということで、初めて殺人予告となり得たのです。ケース27は大友が最初に置いたことがはっきりしているので、これは殺人の予告ではありません。では、ケース29では誰が薔薇を置いたのでしょう?薔薇を置いたのが氷室だと仮定するとハムスターが死んだ午後のオペがこのケース29になるはずです。するとケース30も31も当然氷室の犯行ということになります。ケース32は先の事情で除外され、ケース33も氷室の犯行ということになります。
 ところが氷室は全くの無実で、どうやら真犯人が他にいるようなのです。ケース33の凶器がスワン-ガンツカテーテルである以上、それを操作して殺人を実行できるのは氷室だけです。ただ、スワン-ガンツカテーテルの細工を別の人間が行い、氷室はそれを知らなかったということは考えられます。そこで氷室が残した「27」というダイイングメセージが重要な意味を持つことになるのです。

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2008年11月27日 (木)

風のガーデン第7話 サポナリア

 サポナリアはカスミソウによく似た姿で、きれいなピンク色の花を咲かせます。ガクの部分が大きく膨らんで五角形(星形)に角張っているのが特徴的です。Saponaria02
 貞美(中井貴一)を“大天使ガブリエル”だと思いこんでいる岳(神木隆之介)は、貞美の姿を見て逃げ出したルイ(黒木メイサ)を「ルイはとっても失礼だ」と責める。けれど、父は死んだと聞かされている岳に本当のことは言えずにいた。
 携帯電話の番号を変えるため町へ出た貞美は小玉理容室に寄り、エリカ(石田えり)に自分宛の郵便物の送り先とさせてほしいと頼んだ。エリカは、同級生たちと一緒に、貞美の歓迎会をするつもりだから絶対に参加するように話す。どうやら貞美は一度帰京して身の回りの整理を始めるつもりらしい。
 貞美のことが気になるルイは、修(平野勇樹)に同行を頼んで森の中の足跡をたどり貞美が暮らすキャンピングカーを見つけた。ドアをノックするが貞美は不在だった。その夜、ルイは森に付き合ってくれたお礼に修とバーに行く。舞い上がって「結婚しよう」と言い出した修の言葉を笑い飛ばすルイ。
 岳は貞三(緒形拳)にガブリエル天使を怒らせてしまったことを相談する。いつものように真剣に話を聞きながら、ルイを責める岳をなだめる貞三。ルイはそんな祖父貞三にもガブリエルが父親であることを隠していた。
Meisa_kuroki02  つかの間東京に戻った貞美は、妙子(伊藤蘭)に正式に病院を辞めることを告げると、必要な薬を富良野へ送ってほしいと頼む。そして、自分が死んだらおやじに渡して欲しいと一通の封筒を渡す。泣き出す妙子に富良野で息子のピアノでチェロを弾いた話を打ち明ける貞美。
 世間は不倫だ浮気だというけれど、人はひとりの人しか愛せないことはないはずで、同時に二人の人を愛してしまうことだって充分にあり得ることだと私は考えている。社会のルールが一夫一婦制になっているだけで、自分の妻や夫しか愛してはいけないという法律は無い。この二人を見ていると肉体関係が絶えた後も非常にいい関係でいることが分かる。「後のことは君たち夫婦に任せていいか?」と貞美が言っていたように、妙子の夫内山との友情も保たれている。通常であれば不倫していた女の夫に頼める話ではないはずなのだが・・・貞美という男の生き様を見ていると、一様に不倫は悪だとは言い切れなくなるような気がしている。
 貞美は姉・冬美(木内みどり)の家を訪ね、病院を辞めて富良野に帰ることを告げる。子供は何を喜ぶのかと相談する貞美に冬美は一緒にガーデンで働いてあげればいいと助言する。貞美は父親としての役割を忘れてしまうほど子供たちと長く離れていた。息子岳とは話しをしたり、一緒に楽器を奏でたりしながらも、親子という実感は持てないでいたのかもしれない。親だ子だと妙に構えてしまうから役割という厄介な問題に直面してしまう。何を語らずとも何もしなくても、ただ一緒にいることで互いに安心できる関係が、親子であり夫婦というものではなかろうか?
 富良野へ戻った貞美がキャンピングカーに荷物を運んでいると、ルイがやってきた。キャンピングカーに入ろうとするルイを制して、貞美はルイを近くの川原に誘う。森の中を少し離れて歩きながら、「今でも俺のことを恨んでいるか?」とルイに尋ねる。恨んだこともあるが、無性に会いたいと思うこともあると答えたルイに、貞美はこころから「ありがとう」と言う。Ken_ogata03
 自分が死んだことになっているのなら岳にはこのまま“ガブリエル”で通すこと、貞三は「決して自分を許さない」だろうから富良野に戻っていることを内緒にすること、さらにはルイの恋が終わったことなど、これまで離れていた時間を埋めるように話をする2人。ルイも辛い恋をした後だけに貞美の気持ちも少しは理解できるようになっていたようだ。「俺もこの夏は天使でいたい」という貞美の言葉がとても印象的だった。そして家に帰ったルイは、岳に翌朝ガーデンに行くようにすすめる。
 その頃貞三は三沢家で患者を看取ろうとしていた。以前、息子が強引に入院させようとしていた患者だった。しかし、その息子の姿は臨終の場にはなかった・・・産婆などというと笑われそうだが(今は助産師という)、私もそうだが以前は自宅での出産が当たり前だった。ところが近年は出産といえば病院でするものという感覚が当たり前になっている。人は病院で生れ病院で死ぬ。「ゆりかごから墓場」の始まりと終わりが病院のベッドの上というのが当たり前のような時代になってしまっている。果たしてこれが人として幸せな状況といえるのだろうか?病院のベッドで多くのチューブに繋がれて声を出すこともできない状況で死を迎えるのと、あの三沢老人のように何にも縛られること無く、妻や娘や孫たちと触れ合いながら旅立って行くのとでは随分と違うのではないか?それを見守る子供たちも人の死を充分に受け入れ易いのではないか?そんなことを改めて考えさせられるいいシーンだった。
 貞三は帰り際に葬儀の準備でやってきた貞美の同級生たちが富良野へ戻ってきた貞美の歓迎会を開くと話しているのを偶然耳にする。帰宅した貞三はルイにそれとなく尋ねようとして止めてしまう。予告では貞三が貞美のキャンピングカーに乗り込んで来るシーンがあったが、医者である貞三には貞美の病状は隠しようがないだろう。貞美は「あの人は決して許さないだろう」とルイに話していたが、死を目前にした息子を前にして貞三はどうするのだろう。死が全ての赦免になるとはいえないが、そこは親子のことである。『優しい時間』で親子のこころの雪解けを見事に見せてくれた倉本聰の手腕に期待している。

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2008年11月25日 (火)

ドラマ・チームバチスタの栄光(14)

 Aiに関しても原作では犯行の手段が特定できているので、白鳥は撮影部位まで特定しているのに対し、このドラマでは犯行の痕跡を見つけるのに相当苦心しているのです。つまり、この段階では犯行の手段が白鳥には特定できていないことがはっきりしたわけです。ロジカルモンスターの面影すら感じられないありさまでした。そのくせ、CTに映し出された小さな白い影を立体的に繋ぎ合わせて、凶器をスワン-ガンツカテーテルと特定している。こうした矛盾が徐々に増えてくると、何も無理に新たな犯人を設定しなくても・・・と思えてしまいます。Fig_cph06_031
 まあ、田口がガラスケースの薔薇の秘密を白鳥に告げてしなかったという伏線はあるにせよ、ロジカルモンスターとはほど遠い存在に思えてなりません。科警研での血液検査などロジカルモンスターなら自分のプライドにかけて絶対にやらないでしょう。血液に証拠を残すような間抜けな犯人ならとっくに馬脚を現していると私も考えていました。
 ともあれ犯人は捕まったわけですが、どうやら他にも犯人がいるらしいのです。そこで真犯人は・・・?ということになるようですが、原作にもあったようにAiの結果解剖されることが可能になったケース33以外証拠が一切ないのです。これが欧米であれば墓を掘り返すことも可能でしょうが、日本の場合はほとんどが火葬ですから・・・
You_shirota03  原作ではケース27は桐生のミス、ケース29は氷室のミス、実際の殺人はケース30、32、33の3件だけだと氷室は語っています。しかし、実際には警察で黙秘を続ける氷室はケース33でしか起訴はされない。それが現実でしょう。実際に解剖されたケース33以外には全く物的証拠がないのですから。それなのに他に犯人がいると言われても・・・いったいどうやって犯行を実証するというのでしょう?状況証拠と犯人の自白という結末だけはごめんです。残されているのは死亡した患者の血液と心筋の切除片だけです。そこに思わぬ結末があるというなら別ですが・・・
Yumiko_shaku05  大友看護師(釈由美子)の涙も不自然でしたが、氷室(城田優)の失踪も不自然です。両者の間には何らかの秘密があるようですが、恋の鞘当で医者が患者を殺すなんていう設定は陳腐過ぎるのでご勘弁願いたいものです。これからの見所は田口と白鳥が真犯人を特定できる物的証拠を発見できるかどうかにかかっています。犯人の自白で物語の結末を迎えるのだけは絶対に避けてもらいたいと願っています。
 私はこの血液に毒薬以外の薬物、あるいは人の体内にあっても不思議のないなんらかの化学物質が混入されていたという設定はどうだろうと考えています。例えば、本来無害であるはずの薬物や化学物質が、他のそれ自体は無害の薬品や化学物質が体内の他の物質と化学反応を起こして心臓を止める。そのくらいの知識のある人間が犯人でなければ面白みは半減してしまうでしょう。最初白鳥はそうした推測の元に血液検査を行ったのではないかと考えたほどでしたが、すっかり当てが外れてしまいました。ならば、切除した心筋を徹底的に調べるべきでしょう。鳴海のような優秀な病理医なら何かを見つけてくれるかもしれませんから・・・

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2008年11月24日 (月)

ドラマ・チームバチスタの栄光(13)

 いよいよ犯人が明らかになると期待していたら、なんと原作と同じ・・・フジTVでは犯人当てクイズも始めたようなので新犯人は他にいるようなのですが、少なくともケース33の殺人犯は氷室で間違いはないのです。
 確かにスワン-ガンツカテーテルが凶器に使われたことには驚きました。ただあの設定だとメカニカルな細工が必要になりますから、現実問題として麻酔医に可能なのかどうか判断に苦しむところです。さらに、子供には使用しないということでしたが、原作のエピドラと違い何故という説明が一切ないために、どうにもしっくりときませんでした。子供の場合、術中管理は何を使って行うのでしょう?医療監修にあの須磨先生がついているので間違いということはないと思いますが、もう少し説明が必要だったのではという気がしています。Sick11_4a
 スワンガンツカテーテルは肺動脈カテーテルのことで、ショックや心不全など重篤な患者に於いて、心機能を連続的に測定するために使用する医療器具です。エドワーズライフサイエンス社による商品名(発明者の名でもある)を取ってSwan-Ganz(スワン-ガンツ)カテーテルと呼ばれる事が多いようです。ただ、エピドラチューブを脳髄を深く挿入し薬物を投入するという原作と異なり、このメカニカルな仕掛けは物的証拠になるので、完全犯罪を目論む犯人としてはあまり懸命な選択とはいえないのではと思ってしまうのは私だけでしょうか?
Atsufumi_itoh01    それと白鳥の間抜けぶりにも唖然としてしまいました。白鳥圭輔には厚労省の医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長という肩書きがあります。その彼が素人の田口に求められてAiを思い出すというのは不自然としかいいようがありません。さらに、心臓を開いてみれば犯行の手口も犯人も特定できるという彼の思い込みもいかにも平凡過ぎて不自然です。彼はどんな死因を想定していたというのでしょう?谷垣講師が言っていたように、多くの目が注目している術野で何か細工をすることは不可能だということは白鳥も知っていなければ不自然です。勿論、原作の白鳥はそれが分かっているので、麻酔医の氷室を犯人と推測し、国会図書館に彼の医学論文を調べに行っている最中に緊急オペが始まり、患者を救うことができなかったというストーリーになっています。つまり、ケース33のオペ前に犯人も犯行の手口も分かっていたので、田口に「なんとしてもこのオペを止めろ!」と命じたのです。ところが、このドラマで白鳥は犯人や凶器の特定もできない状況でオペを止めていたことになる。たとえ、彼の到着が間に合っていても患者は救えなかったのです。これでは何のためにオペの中止を命じたのかわからなくなります。オペを中止すれば患者は間違いなく死ぬのですから・・・

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2008年11月20日 (木)

風のガーデン第6話 デルフィニウム(2)

 翌早朝、貞美はグリーンガーデンにいた。蛍の墓の前で手を合わせている貞美に「蛍を知っているんですか?」と不思議そうに問う岳。蛍がまだ子犬だった頃のことを語る貞美。そして「ハウスを見せてもらってもいいですか?」と貞美は岳に尋ねる。グリーンハウスに案内しハーブティーを入れ、「僕の家族を知ってますか?」「母に会ったことはありますか?」と問う岳に天国でおばあちゃんと仲良く花の手入れをしていると貞美は答える。そして岳から父も天国にいるのかと聞かれ、躊躇いながらも「もうじき来ますよ」と答える貞美。「それは何時ごろですか?」と問う岳に「多分今年の冬かそのくらいには・・・」と貞美は答える。「どうしてですか?」と問いを重ねる岳に「天国に入るにはいろいろと手続きがあって」と苦しい説明を強いられる貞美。それを理解してか知らずか「父をよろしくお願いします」と深々と頭を下げる岳に思わず胸が熱くなり涙を隠す貞美。そして岳が奏でる「乙女の祈り」を聞きながら涙を流す。Kiichi_nakai01
 この会話は普通の親子の会話ではない。むしろそれを超越しているように感じられた。それは子供と天使との会話だからというような単純なものではないような気がする。貞美は間違いなく父親だし、岳は障害を抱えてはいるが紛れもなく貞美の子供である。子供が父親の顔を知らないだけである。私たちは岳が目の前にいる天使が実は自分の父親だと知ったらどうするだろうとまず考えてしまう。それが普通の親子だからだ。では普通の親子とはどんな親子をいうのだろう?
 私はこのシーンを見ていて思い出したことがある。それは父の膝の上で読み聞かされたおとぎ話である。この親子は今そこへ時を遡っているのではなかろうか?貞美の膝の上に幼い岳がいて、父親から天国の話しを聞いているとすれば何の違和感もないはずである。倉本聰は『優しい時間』でも複雑な親子の関係を見事に描いていたが、ここにも「父と息子」の複雑な物語がある。何も明かされてはいないが、何故あれほど優しい貞美が岳を妻に託して東京で単身暮らしていたのだろう?そのことは理容店のエリカにも責められていた。だが、彼はそのことについては一切語ろうとはしなかった。
Eringium01  その日、貞美は誰もいなくなったガーデンをひとり散策していた。そして、ふと足を止めて見つめる花があった。私にはアザミのように見えたが、調べてみるとどうやらエリンジウムのようだ。エリンジウムはセリ科の多年草で、花言葉は「光を求める・秘めた愛・秘密の愛情・無言の愛・秘密の恋」ですが、貞三の花言葉は「大天使ガブリエルの贖罪」です。アザミに似ているなァと思っていたらエリンジウム・プラナムは別名マツカゼアザミとも呼ばれているそうです。貞美は父貞三の花言葉を思い出していたのでしょう。
  その後、不用意にも熊除けの防護柵に触れ気絶してしまう。夕立に降られ、やっとの思いでキャンピングカーに戻り眠っていた貞美の夢の中に、二神が現れ「先に行ってるぜ先生」と言う。すると妙子と二神の娘・香苗(国仲涼子)から二神の死亡を知らせるメールが入るのだった。ショックで呆然とする貞美。だが、理容店のエリカから電話が入り飲みに誘われるとあっさりそれに応じる。
 翌朝、グリーンハウスで、貞美がチェロを弾き、岳がピアノで伴奏を付けていると、音を聞きつけたルイ(黒木メイサ)がやってきた。貞美の姿に驚いたルイは駆け出し、車でガーデンを飛び出して行くのだった。同じような経験をしていたルイには貞美の気持ちも少しは理解できるようになっているはずである。そのルイが今後どのような行動をするのかに注目している。

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2008年11月19日 (水)

風のガーデン第6話 デルフィニウム(1)

 デルフィニウムというのは属名で,「イルカ」を意味します。これは、つぼみの形がイルカに似ていることに由来するようです。デルフィニウムはヨーロッパを中心として約250種が分布する多年草です。Derufiniumu01
 富良野に来ていた貞美(中井貴一)が早朝のガーデンを歩いていると、蜂場で手伝いを終えて戻ってきた岳(神木隆之介)と遭遇。父親は死んだと聞かされている岳は貞美を“大天使ガブリエル”と勘違いし、貞美もとっさにそれを肯定する。会ったことを内緒にしていればまた会えるという貞美の提案に素直にうなずく岳。岳はゲラニウム・ジョンソンズブルーの貞三の花言葉「大天使ガブリエルの哀しいあやまち」が気になって仕方がないようだ。大天使ガブリエルについては貞三の説明である程度理解はしているようだが、「哀しいあやまち」という部分が分からずにルイにまで尋ねていた。
Geraniumuzyonson  キャンピングカー暮らしに備え買出しに出た貞美は、週刊誌に掲載された二神(奥田瑛二)の写真を目にする。車椅子に乗り、憔悴した表情の二神。その写真を凍りついたように見つめつる貞美。帰りに高校時代につきあっていた小玉エリカ(石田えり)が営む理容店を訪ねた。30年ぶりの再会だ。懐かしい昔話に盛り上がる2人。二人の過去のエピソードはいかにも倉本聡らしいユーモラスな内容になっていた。病気のことを知らないエリカは、勘当されている貞美が、里心がついて帰郷したと思い、「困ったことがあったら助けてあげる」と告げる。30年前貞美は別れ話しを切り出した後、逃げるように立ち去りながら、心配になって戻って来たという。貞美という男はどうにも憎めない男のようである。こうした男は女の方がほうってはおかないのだろう。この優しさが彼に女性ばかりではなく悲運までも呼び寄せてしまったのかもしれない。
 岳は往診から帰ってきた貞三(緒形拳)にガブリエルに会ったことを告白する。ガブリエルが貞美とは知らない貞三は、約束を破ったからもう会えないかもしれないと心配する岳に2人だけの秘密にするから大丈夫だと安心させる。その頃、キャンピングカーで寝ていた貞美はうなされるように目を覚ました。直後、妙子(伊藤蘭)から二神の危篤を知らせるメールが入る。衝撃を受ける貞美。貞美は二神の死を見取るつもりでいたはずだ。今いる改造キャンピングカーも譲り受けたとは思っていないに違いない。貞美は二神の娘香苗の言葉に刺激され家族に会いたくてたまらなくなり、キャンピングカーを借りて富良野に来ていたのだろう。その二神が今死に瀕している。それも今夜が山だという。戻っても多分間に合わないだろうし、自分にできることは何も無い。そんな想いが貞美の中に去来していたのでは・・・

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2008年11月18日 (火)

ドラマ・チームバチスタの栄光(12)

Codeblue00_2   それにしてもオペのミスが怖くて殺人を犯す。桐生がそれほど医師としての名声に拘る度量の浅い人間には見えないのですが・・・ただ、重すぎる名声を抱えた人間の苦悩など私のような凡人に忖度できるはずもないのですが・・・確かにメスを置かなければならないということは外科医としての死を意味します。それは『コードブルー』の黒田の例を見るまでもないでしょう。ただ『チームバチスタの栄光』では鳴海という前例があります。桐生よりも腕が良く、将来を嘱望されていた医者がメスを置き、病理医としてみごとに再生を果たしているのです。さらに付け加えるなら、医師の役割は単に自分が患者を救うことだけではないはずです。Iryu2_1

 勿論、目の前の患者を救うことが第一義なのかもしれませんが、『医龍2』で鬼頭が繰り返し言っていた「10年後に1万人を救う」ことも医者の使命のひとつであるはずです。つまり、研究や後進の指導も医者としての重要な勤めだということです。鳴海のような鮮やかな転身は難しくても桐生なら充分にその役割が果たせるはずですし、現に原作で桐生はメスを置き、アメリカで後進の指導に当たる決意をするところで物語りは終わるのです。
Drkoto02  どうも『医龍』以後、フジTVの医療ドラマでは普通の医者、並みの医者が強調されているような気がしているのは私だけでしょうか?あのぼんやりでおっとり見えるDr.コトーでさえ、大学病院では外科のエースだったのですから・・・特に『コードブルー』ではそれを強く感じました。そして、このドラマでも田口公平がまさにそうした役を演じています。そして、ここにスポットライトを充てると桐生は当然影となる。桐生犯人説を取ると今後の医学の進歩にとって大きなマイナスになると私は考えています。まあまるきり検討ハズレになるかもしれませんが、とりあえず自分なりの犯人とその背景を推測してみました。私の推理はともかく、果たしてこのドラマの結末が論理破綻をしていないことを願うばかりです。

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